体を整える

体が正直になってきた|50代が見つけた、制限の中で戦略を立てる面白さ

バマ

体がギコギコ言っている。

今朝、いつものダンベルプレスを始めようとして、最初の1セット目の前で少し迷った。
強度を落とすか、落とさないか。
疲れているのはわかっている。
でも落としたくない気持ちもある。
隣の若者はサクサクとダンベルを挙げていた。

昔は、そんなことを考えたことがなかった。

若い頃は、ただ向き合っていた

20代、30代のトレーニングはシンプルだった。

胸筋をつけるぞ、という気持ちでダンベルを握る。
重さと向き合う。
それだけだった。
迷いなんてなかった。
体は言ったことを聞いてくれた。

あの感覚、懐かしいと思った。
でも今の自分には戻れない。

最初に気づいたのは、加速だった

40代中盤のことだ。

選手と一緒にランニングをしていた時、加速が全然違うことに気づいた。
自分では出せているつもりだった。
でも体はそう動かなかった。
ジャンプも同じだ。
飛べると思っていたのに、全然飛べない。

決定的だったのは、物を掴もうとして空振りした瞬間だ。
手を出す。
でも物より手前で止まっている。
「あ、これは気のせいじゃない」と、初めてはっきり思った。
体の反応が、思考より遅くなっていた。

40代は「気のせい」にしていた

気づいていた。
でも認めたくなかった。

気のせいだ、今日は調子が悪かっただけだ。
そう思うことにしていた。
仕事と家族のために動いていた時期で、自分の体に向き合う余裕もなかったし、向き合いたくもなかった。

でも50代になって、「どうにかなる」ではどうにかならなくなってきた。

体は正直だった。
移動程度で体が固まる。
出張中、翌朝のトレーニングでバキバキのまま1セット目を迎える。
これが今の現実だと、ようやく腑に落ちた。

資源は、もう無限じゃない

そう気づいた時、最初は少しがっかりした。

でも今は違う。
資源が有限だとわかったなら、使い方を考えればいい。

以前は睡眠に時間を割くのが勿体ないと思っていた。
リカバリーといえば、ご褒美スイーツとか、ゴロゴロしながら動画を見るとか、たまにマッサージとか——メンタルを回復させるものばかりだった。

今は違う。
疲れたら寝る。
睡眠時間を先に確保してから、その日のスケジュールを組む。
トレーニングの頻度、仕事の量、食事のタイミング。
リカバリーの対象が、メンタルからフィジカルに変わった。

制限の中で、最高のパフォーマンスを思考する。
これが今の自分の仕事になった。

制限があるから、戦略が面白い

振り返ると、40代がいちばんつまらなかったかもしれない。

仕事と家族のために動いていた。
自分のことは後回しにしていた。
何も考えつかなかったというより、自分に向ける視点がなかった。
時間を浪費していた感覚が、今になってわかる。

20代30代は、思う方向にただ突き進んでいた。
それはそれで自分らしかった。

でも今が、一番自分らしいと思う。

制限があるから考える。
考えるから戦略が生まれる。
戦略があるから、1日が充実する。

今朝もトレーニングを終えて、帰ってきた。
体はギコギコ言っていた。
迷いながら、1セット目を始めた。
それでも2時間半、動き切った。

不思議なことに、終わった後は体が違う。
ギコギコだった関節に、少しずつ潤滑油が戻ってくる感覚がある。
動かし始める前より、明らかに体が軽い。
始める前の思考との戦いに勝った後に、ちゃんとご褒美が待っている。

だから続けられる。
それが今の自分には必要な時間だと、体が教えてくれる。

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ABOUT ME
バマ
バマ
50代の再チャレンジャー
アスレティックトレーナー/トレーニングコーチ。 プロとアマチュア、両方の現場で25年以上、選手と向き合ってきた。 50代になって気づいた。自分を一番蔑ろにしていたのは、自分自身だった。 体を整え、思考を整え、暮らしを整え、そして自分を整える。 守りから、前へ。
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