思考を整える

会話の主語が、ずっと自分だった|50代が気づいた、傲慢と正義の境界線

バマ

昨夜、選手に聞かれた。

「夜の時間、何やってますか?」

読書して早く寝る。
そう答えると、選手が少し驚いた顔をした。
朝5時に起きるためだと続けると、「じゃあ朝の時間はどう使ってるんですか?」と聞いてきた。

他に人がいない時間で集中したいから、朝にトレーニングするんだよ、と答えた。

気づいたら、そこで終わっていた。
選手が朝をどう使っているか、夜に何をしているか、一つも聞いていなかった。向こうから話を広げてくれていたのに。

相変わらずだな、と思った。

昔は「教育しなきゃ」だった

若い選手にトレーニングを強要していた時期がある。

自分がやっていることが正しい。
なんでやらないんだろう。
なんで理解できないんだろう。
そういう思考だった。
相手の価値観より、自分の正義が先にあった。

相手を変えたかっただけで、相手を知ろうとしていなかった。

40代、距離を置かれて気づいた

若い頃は、選手と年齢が近かった。

自然と会話が弾んでいた。
相手の考えや悩みを引き出しながら、一緒に考えていた。
それが当たり前だったから、意識すらしていなかった。

いつの間にか、その感覚が消えていた。

知識と経験が積み重なるにつれて、「選手にとってベスト」という正義が自分の中で確立されていった。
なぜベストなことがわかっている自分の話を、真剣に聞かないのか。
その思考に気づいた時、ぞっとした。

自分の正義は、いつの間にかただの傲慢に変わっていた。

選手が距離を置くのは当然だった。
相手を知ろうとせず、正解を押しつけていただけだったから。

妻に「言わないとわからない」と言われた日

子供が小さい頃、妻によく言われた。

「言わないとわからない」

妻が子育てで忙しいのはわかっていた。
でも長年一緒にいるんだから、言わなくてもわかってくれるはずだと思っていた。
夫婦という関係を、自分に都合よく解釈していた。
甘えだった。

「言わないとわからない」は、妻の言葉じゃなくて、俺への問いかけだった。

相手に興味を持って、言葉で聞く。
それだけのことが、できていなかった。

会話の主語を、どこに置くか

今でも妻に言われる。
でも今は「変に納得する」。

なんでわからないんだろう、という思考が出てこなくなった。
そうだよな、言わないとわからないよな、と腑に落ちる。
自分主体から相手主体へ、少しずつ重心が動いてきた証拠だと思っている。

仕事も同じだ。
俺が必要だと思うことが、相手の優先順位とは限らない。
同じ方向に向かうには、方針が要る。
言葉が要る。
相手を知ろうとする姿勢が要る。

会話の主語を自分に置いたまま、相手を理解しようとしていた。

それが長年の癖だったと、ようやくわかってきた。

まだ途中だけど、気づいてる

昨夜の選手との会話、終わった後に気づいた。

また自分の話をしていた。
相手の夜の過ごし方を、一つも聞かなかった。
たわいもない会話の中でこそ、相手を知るチャンスがある。
わかっているのに、まだできていない。

でも気づいている。
それが昔との違いだと思っている。

次に選手に話しかけられた時、まず一つ聞いてみる。
それだけでいい。

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ABOUT ME
バマ
バマ
50代の再チャレンジャー
アスレティックトレーナー/トレーニングコーチ。 プロとアマチュア、両方の現場で25年以上、選手と向き合ってきた。 50代になって気づいた。自分を一番蔑ろにしていたのは、自分自身だった。 体を整え、思考を整え、暮らしを整え、そして自分を整える。 守りから、前へ。
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