使いこなせない自分を、年齢のせいにしていた|50代が向き合った、プライドという壁
またこの感じか、と思った。
上司から新しいシステム導入の話をされた。
AIの進化とともに、新たなツールが次々と職場に入ってくる。
世の中のスピード感が、加速している。
年齢のせいにしていた
フリック入力の練習を始めて、まだ苦戦している。
きっかけは単純だ。
これまでローマ字変換で入力していたが、打ち間違いが増えてきた。
文字が小さいのか、指先の感覚が変わったのか、理由はよくわからない。
ただ、携帯で文字を打つ機会が明らかに増えた。
Claudeを使うようになって、入力する文字量が格段に増えたのだ。
このままではいけないと思って、今更ながらフリック入力を覚えようと決めた。
これがなかなか難しい。
そして今度は職場でも新しいシステムの導入が始まった。
職場の若手は、新しいデバイスをあっという間に使いこなす。
見ていると、なぜあんなに簡単にできるのかと、正直、感心する。
最初は「50代だから仕方ない」と思っていた。
年齢とともに、新しいものへの適応が難しくなっていくのか。
そう自分に言い聞かせていた。
でも、少し立ち止まって考えてみると、それだけじゃなかった。
プライドという壁
若い頃は、わからなければ聞けばよかった。
「わからなくて当たり前」という立ち位置が、聞くことへのハードルを下げてくれていた。
でも今は違う。
ベテランとして仕事をしている。
「まだわからないのか」と思われる恥ずかしさ。
何度も聞くことへの遠慮。
そういうものが積み重なって、新しいものへの一歩を重くしている。
年齢のせいじゃなく、プライドが壁になっていた。
ただ、最近は少し変わってきた。
以前より「わからない」と言えるようになってきた。
若手に聞くことへの抵抗も、だいぶ薄まってきている。
プロとしての完璧さより、前に進むことを選べるようになってきた。
それだけで、一歩が軽くなる。
突然、使いこなせる瞬間が来る
学生時代、英語が苦手だった。
7ヶ月ほど苦戦を続けたある日、テレビのニュースから流れてくる単語が、突然聞き取れた。
あの瞬間の感覚を、今でも覚えている。
新しいツールも、同じだと思っている。
以前、職場に新しいデータ測定器が導入された時のことだ。
若手がすぐに使いこなす姿を見て、気づいたら若手に任せてしまっていた。
ところが結局、自分でも理解しなければならない場面が来た。
逃げた分だけ、余計に時間がかかった。
段階を踏んで、何度もやる。
詰まったら聞く。
そうしているうちに、ある瞬間からデバイスの操作が自然になる。
頼まれても不安なく動ける自分になっている。
ただ、その「突然」がいつ来るかわからない。
その待ち時間が、思考のリソースを使い続ける作業になる。
50代はただでさえ、思考のノイズを減らしてシンプルに生きようとしている。
そこに新しいツールの習得が重なると、億劫に感じるのは当然かもしれない。
自分のアプローチを知っていれば、怖くない
プラモデルを組み立てる時、説明書をあまり読まない。
パーツを見ながら想像して、手を動かして、詰まったら説明書を開く。
そういうスタイルでずっとやってきた。
新しいテクノロジーへの向き合い方も、実は同じだった。
まず使ってみる。
体で慣れる。
詰まったら聞く。
そうやって測定器もAIも、最終的には使えるようになってきた。
AIに課金した時も、最初は正直なところ使いこなせる自信はなかった。
それでも使い続けるうちに、今では記事を書く相棒になっている。
使えるようになってからのアイディアは、むしろ自分の方が出せる。
時間はかかる。
でも、使えないわけじゃない。
達成感か、速さか
新しいものに向き合う時、二つの選択肢がある。
自分のスタイルで時間をかけて習得する達成感を選ぶのか。
人に聞いて速く身につけることを選ぶのか。
どちらが正解というわけじゃない。
目的によって、アプローチを選べばいい。
ラインを返すたびに、フリック入力の練習になっている。
正直、少し億劫だ。
でも突然できる瞬間が来ることを、自分の経験から知っている。
それだけで、十分前に進める。
