自分を整える

ゴマをする人を嫌悪する資格、自分にあるのか|50代が気づいた、評価する側の矛盾

バマ

感心と、絶対的な嫌悪

上司にゴマをする人が、出世していく場面を何度か見てきた。
その振り切れる行動力に、感心する自分がいる。
同時に、絶対に自分はああなりたくないという嫌悪も、同じくらい強くある。

その人は、とにかく意見を言わない。
上から降りてきたことに、はいはいと従う。
それが適切かどうかは、あまり関係ないらしい。
とりあえず部下に「これをやれ」と伝える。
イエスマンになっているから、出てくる言葉は「わかりました」しかない。
結果として、部下がその尻拭いをする構図ができあがる。
都合の悪い事実も「必要なことだから」と言い切ってしまう場面も見た。
それを見て、この人は信用できないと思った。

選べない生き方、失っている機会

一方で、自分にはこの生き方が選べない。
正しいと思うことを貫きたいタイプだから、ゴマをするのが単純に下手だ。
興味がある相手には、こちらから話を聞きに行く。
でも、上っ面だけで深みのない人には、あえて近寄らない。
人脈でのし上がるタイプより、実力でのし上がるタイプに惹かれる。

ただ、考えてみると、出世は相手に気に入られることも必要な世界だ。
自分のペースで仕事をするのは、裏を返せば仕事の幅を自分から狭めている行動でもある。
組織を動かす管理職に向いているのは、むしろあの人のような振る舞いなのかもしれない。
だとすれば、自分はゴマをする人を嫌悪しながら、実は自分自身の選択で、その機会を失っているだけなのかもしれない。

曖昧な説明の裏にあるもの

もう一つ、見えてきたことがある。
上司が状況を説明する時、その説明はいつも曖昧だ。
目的や背景を聞いても、はっきりした答えが返ってこない。
上司自身も状況を完全には理解できていないからなんじゃないかと思う。
実際、上司を飛び越えて、その上の人に直接聞いてみると、たいした問題ではなく、その場であっさり解決することも少なくない。

これを見ていると、大事なのは、出世の駆け引きよりも、問題を正しく把握する能力と、その場で解決していく責任感なんだと思えてくる。
ゴマをする人が持っているのは、その能力ではなく、立ち回りの技術だ。
それはそれで一つの才能なんだろうけど、自分が本当に欲しいのは、そっちじゃない。

評価する側にも、同じ矛盾があった

もっと痛いところに気づいてしまった。
自分にとって可愛げのある部下や後輩とは、不器用でも一生懸命やるタイプ、ちゃんと挨拶するタイプ、後輩に優しいタイプ、人の悪口を言わないタイプ、メリットのある人にわかりやすく近づいていかないタイプだ。
話をよく聞いて、わかりましたとすぐに行動する部下にも、可愛げを感じる。
あーでもない、こーでもないと言い訳を並べて、すぐに動かない部下より、評価したくなる自分がいる。

でも、自分自身はどうだろう。
立場も年上でもあるから、いまだに「挨拶はされるものだ」という感覚が、正直拭えていない。
最近は意識して、相手の名前を呼びながら、こちらから先に挨拶するようにしている。
これができていなかったこと自体、人間としてまだ未熟だった証拠だと思う。

悪口を言わないように気をつけているのも、最近の傾向だ。
批判しても何のメリットもないと分かっている。
それでも、誰かに同調して敵を作ると、ストレス発散になったり、仲間意識を持てたような錯覚で、自分が守られている気になれる。
そういう嫌いなはずの行動を、ついやってしまう場面がある。
それも、未熟さの表れなんだと思う。

そう考えると、この記事で書いてきた上司への評価も、それに近いのかもしれない。
誰かを悪く言うことで、自分の正しさを確認しようとしている部分が、なかったとは言い切れない。
だとすれば、自分の上司から見て、自分自身が「言い訳を並べてすぐに動かないタイプ」に映っている可能性も、十分にある。
ゴマをする人を嫌悪する資格が、自分にあるのかどうかすら、怪しくなってくる。

結局のところ、権力やお金、周りからの扱い。
その地位にいれば、気持ちのいいことは確かにある。
それを手に入れるために自分を殺す代償を払うより、自分らしさとマイペースさを優先してきた。
それが、今の自分の選択なんだと思う。

それでも、なんだかんだ嫉妬している部分は、正直ある。
振り切れる強さも、手に入れているものも、羨ましくないと言えば嘘になる。
それを嫉妬だと素直に認められること自体が、50代になって、自分の弱さをようやく認められるようになってきたということなのかもしれない。

それでも、答えが出たわけじゃない。
ただ、他人を評価する目で、自分自身も同じように評価されているという事実だけは、忘れないでおきたいと思う。

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ABOUT ME
バマ
バマ
50代の再チャレンジャー
アスレティックトレーナー/トレーニングコーチ。 プロとアマチュア、両方の現場で四半世紀以上、選手と向き合ってきた。 50代になって気づいた。自分を一番蔑ろにしていたのは、自分自身だった。 体を整え、思考を整え、暮らしを整え、そして自分を整える。 守りから、前へ。
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