自分を整える

磨く過程に関われることが、俺の誇りだった|50代トレーナーが見つけた、原石を信じる仕事

バマ

期待されて入ってきた選手

その選手は、元々期待されてチームに入ってきた。
最初のうちは、その期待に応える兆しをしっかり見せていて、この先が楽しみだと周りも口を揃えていた。

でも、年々伸び悩んでいく時期があった。
周りの期待とは裏腹に、結果が出ない。
自分の能力に疑問を抱き始めていたと思う。
周りがどんどん伸びていくのを見ながら、自分だけが退化していくような感覚。
それがどれほどしんどいか、そばで見ていて想像はついた。
同じ場所で汗を流しているはずなのに、差だけが開いていくように見える時期だった。

迷い込んだ、遠回りの時期

結果を出すために、いろんなアプローチを試していた。
でも、なかなか結果が伴わない。
迷宮に迷い込むように、何かを試してはすぐにやめ、また新しいものに手を出す。
焦りが焦りを呼んで、何がその選手本来のやり方だったのかさえ、周りから見て分からなくなっていく時期があった。

自信を失いかけ、このままチームでやっていけるのかと悩んでいた。
それでも、「諦める」という言葉だけは、最後まで出なかった。
弱音を漏らすことはあっても、そこで立ち止まる選択はしなかった。

焦らず積み上げた先に

燃え尽きるまで挑戦し続ける気持ちは、ずっと持ち続けていた。
結果が出ない時期にも、努力を止めないマインドだけは、失わなかった。

その強い思いが、少しずつ結果に現れ始めた。
焦らず取り組んだ分だけ、地に足のついた成長になっていった。
今では、チームにとって欠かせない選手の一人にまで成長している。

やると決めたことを、焦らず1から時間をかけて積み上げる。
遠回りしているように見えて、それが結果的に一番の近道だった。
振り返って初めて、それが正解だったとわかる類のものだった。

ダイヤの原石を、信じるということ

ダイヤの原石も、磨かなければただの石だ。
それを信じて磨き続けた先に、ダイヤモンドだったと気づく瞬間がある。

自分が関わる選手が、みんなダイヤだとは限らない。
それでも、ただの石が磨けば美しい石になる。
それでいいと思っている。
最終的に美しく輝けば、それはその人にとってかけがえのない時間だし、その人なりの色が出るということでもある。

決めつけないことが、仕事の核

この仕事で一番大切なのは、その選手をダイヤの原石だと信じてサポートすることだと思う。
周りがなんとなく力量を決めつけたり、自分が想像する域までしか伸びないと思っていると、選手はそれ以上の力を発揮できなくなる気がする。
「もうダメだ」「向いていない」「伸び代がない」——そう決めつけること自体が、その選手の将来に制限をかけてしまう。

これは、親として我が子に向き合う時も同じだと思う。
大人の物差しで子供の未来を判断するのは、まだ早い。
我が子をダイヤの原石だと信じられるかどうかが、大切なんだと思う。

磨く過程に関われる誇り

美しくなれたこと自体が、その人にとって何より大切なんだと思う。
そして、その過程に関われることに、自分は誇りを持っている。

結果がどう出るかより、磨き続ける時間そのものに、意味がある
それを信じて隣にいることが、自分にとっての仕事の核なのかもしれない。

分かち合った時間そのものが、財産になる

その人の思考や葛藤、喜びや悲しみ、人生の一場面を近くで共有できたこと自体に、思い出としての価値を感じる。
時間が経つほど、その思い出には複利が効いてくる。
いつか年を重ねて再会する機会があれば、それを肴に、また楽しい時間を過ごせるはずだ。
自分自身、それを思い出して楽しむこともできる。
その成長の過程に携われたことが、何よりの財産なんだと思う。

もちろん、磨いていく途中で妥協したり、離れていく人もいる。
それでも、そこまで頑張ってきた事実は消えないし、頑張れる度合いは人によって違う。
それもまた、その人自身の人生だ。

そんな、人間味のある仕事に携われていることに、感謝しかない。

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50代の再チャレンジャー
アスレティックトレーナー/トレーニングコーチ。 プロとアマチュア、両方の現場で四半世紀以上、選手と向き合ってきた。 50代になって気づいた。自分を一番蔑ろにしていたのは、自分自身だった。 体を整え、思考を整え、暮らしを整え、そして自分を整える。 守りから、前へ。
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