目力が強いと言われてきた|50代が気づいた、表情という自己紹介
目力が強い、とよく言われてきた。
言ってくれる人は褒めてくれているつもりだったと思う。
でも今は少し違う解釈をしている。
それは「近寄りがたい」という、やわらかいサインだったんじゃないかと。
20〜30代:目力は武器だと思っていた
若い頃、その言葉が少し特別な感じがしていた。
オーラがある、存在感がある、そういう意味に受け取っていた。
だからあえてそういう表情を作っていた。
笑わない、隙を見せない、それがかっこいいと思っていた。
ただ正直に言うと、自分自身に自信がなかったのだと思う。
年上の選手が多い環境で、自分はできる、きっちりこなせる、そういうものを見せるために、隙のない表情を作っていた。
他の人ができていないことを自分はできている、そういう差別化を図るための、一種のマウントをとる行為だったのかもしれない。
認めてもらうために、強く見せるしかなかった。
それが当時の精一杯だった。
40代:舐められないための鎧にしていた
40代になると、また別の意味を持つようになった。
部下が増え、人の上に立つことが多くなった年代だ。
自分一人で仕事を完結させることが難しくなり、指示を出したり、お願いしたりすることが増えた。
その時に、険しい顔で指示を出せばどうなるか。
言われた方はいい気分がしない。
関わりたくないと思うのは、当然のことだ。
周りとどうやっていくか。それを再認識させられた年代だったと思っている。
後輩の表情を見て、気づいた
あるミーティングで、スケジュールをすっかり忘れて遅れてしまったことがあった。
他の人たちは笑顔で迎えてくれた。
でも一人だけ、むすっとして挨拶すらしない年下の後輩がいた。
休日出勤でわざわざ来ていたし、正義感が強いのもわかる。
でもその表情を見た瞬間、思ってしまった。
「何かあった時に、この人を助けたいと思えないな」と。
その瞬間、妙に他人事に思えなかった。
なぜかはすぐわかった。
自分の30代の頃、同じ顔をしていたはずだと。
正義感のつもりが、表情に険しさとして出ていた。
反面教師というより、自分を見ているようだった。
笑顔一つで、雰囲気が決まる
あるお店で、料理を運んできてくれた店員さんに言われた言葉がある。
「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ。」
ただそれだけなのに、笑顔で言ってもらうだけで、お店の印象が全然違った。
気持ちよくご飯を食べられた。
それだけで、その場の雰囲気が決まった。
表情って、それくらいの力がある。
自分では見えていない顔が、一番の自己紹介
それなのに、自分の表情は自分では見えない。
鏡の前以外、自分の顔を見ることはできない。
だからこそ、無意識のうちにネガティブな印象を与え続けていることがある。
険しい表情が、険しい空気を作る。
険しい空気が、険しい人間関係を引き寄せる。
笑顔に気をつけるようになってから、相手も笑顔で答えてくれるようになった。
それだけで自分の気分もいい。
悪いことって、結局自分で引き寄せているんだと、つくづく感じた。
全部、自分自身に跳ね返ってくる。
逆もある。
笑顔でいると、ポジティブな空気が周りに伝染していく。
良い環境は、良い表情から始まるのかもしれない。
今は、挨拶の時だけでいい
自分の仕事も、ある意味サービス業だと思っている。
どんな表情で相手に接するか。
それが全部の入口になる。
挨拶の時だけでいい。
それだけで、周りの反応が少し変わった気がする。
目力が強いのは、たぶん今も変わらない。
でも今はその目で、笑うようにしている。
自分では見えていない顔が、一番の自己紹介になっている。
50代になって、ようやくそれに気づいた。
