思考を整える

違和感すら残らなくなった|50代が気づいた、記憶と脳のリソース管理

バマ

先日、妻に言われた。
「今日は仕事早く終わるって言ってたから、買い物行くって言ってたよね」。

そうだった。
確かに約束していた。
でも、言われるまで完全に忘れていた。
仕事が長引いて忙しくしている間に、いつも通りに帰ってきていた。
約束の存在ごと、消えていた。

以前なら、頭の片隅にずっと引っかかっていたはずだ。
「早く帰らなきゃ」という違和感が、どこかに残っていた。
それが今は、その違和感すら残らなくなっている。

違和感すら残らなくなった

歳を重ねると記憶力が落ちる。
それは知っていた。
でも自分が感じているのは、単純な物忘れとは少し違う。

文脈は読めている。
メールの内容も、会話の流れも、その場では理解している。
でも少し時間が経つと、存在ごと消える。
「あ、忘れてた」という感覚すらなく、最初からなかったことになっている。

頭の片隅に引っかかる感じがなくなってきた。
違和感がない、というのが一番怖い。
しかも、忘れているという自覚すらない。

ミスが増えた。不安になった。脳ドックを受けた

今まで自分では考えられないような、ちょっとしたことで失敗する場面が増えてきた。
仕事をこなす量の最大値が、確実に下がってきている感覚がある。

「そろそろ後輩に任せて、自分はサポートに回る年齢なのかもしれない」と思う瞬間もある。
正直に言うと、痴呆になりやすい症状なのかと、不安になることもあった。

50歳の時に、脳ドックを受けた。
結果は異常なしだった。

ただ、検査を受けてわかったことがある。
問題があるわけじゃない。
でも、脳の容量が変わってきている。
仕事量が増えて余裕がなくなると、脳が自動的に「重要度が低い」と判断した情報を選別するようになってきた。
メールを見落とすのも、無意識に選択してしまうくらいの容量になってきた証拠だと思っている。

怖いことではなかった。
脳が省エネモードで動くようになってきた、ということだ。

脳に「覚えておく」仕事をさせるのをやめた

気づいてから、やり方を変えた。

何か思いついたら、すぐにGoogleカレンダーに入れる。
リマインドを設定しておけば、あとは脳が覚えていなくてもいい。
通知が来た時に思い出せばいい。
脳の中に置いておくのをやめた。

これが、思いのほか楽だった。

以前は「これ、忘れないようにしなきゃ」という緊張感を、ずっと頭の中に抱えていた。
その緊張感自体が、脳のリソースを使っていた。
ツールに任せることで、その消耗がなくなった。

細かいことをスルーしてしまう、その対策

対策は、大きく二つに分けて考えるようにした。

一つは、仕組みで防ぐこと。
重要なメールは即返信か即アーカイブの二択にする。
「あとで読む」をなくした。
タスクは思いついた瞬間にGoogleカレンダーに入れる。
頭の中に置いておくのをやめた。
夜寝る前に翌日のカレンダーを一回確認する。
それだけで、朝の抜け漏れがかなり減った。

もう一つは、人の力を借りること。
共有される情報や連絡事項は、後輩にリマインドしてもらうようにお願いした。「念のため確認してほしい」と明示的に頼む。
遠慮しない。

自分一人で全部抱えようとするから、こぼれる。
仕組みと人を上手く使うことが、50代の現実的な対策だと思っている。

脳のリソースは、維持ではなく思考に使う

脳に頼るのをやめた、というと後ろ向きに聞こえるかもしれない。
でも、そうは思っていない。

脳のリソースを「覚えておくこと」の維持に使うより、「考えること」に集中させた方がいい。
Googleカレンダー、メモアプリ、リマインド設定。
テクノロジーが得意なことはテクノロジーに任せる。
脳が得意なことに、脳を使う。

記憶の維持に脳を使わない。
それが、50代の脳のリソース管理だと気づいた。

50代の記憶と、どう付き合っていくか

この記事を書いているのも、ある意味この現状を整理したかったからだ。
書くことで、自分の不安を言語化して、払拭していく。
それもまた、50代の脳との付き合い方のひとつだと思っている。

違和感すら残らなくなった。
それが現実だ。
でも、脳の外に記憶を置く設計をすることで、今日もなんとかやっている。

衰えと戦うより、上手く付き合う。
体も脳も、今ある力を正しく使う設計をする。
その方が、ずっと長く動き続けられると信じている。

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ABOUT ME
バマ
バマ
50代の再チャレンジャー
アスレティックトレーナー/トレーニングコーチ。 プロとアマチュア、両方の現場で25年以上、選手と向き合ってきた。 50代になって気づいた。自分を一番蔑ろにしていたのは、自分自身だった。 体を整え、思考を整え、暮らしを整え、そして自分を整える。 守りから、前へ。
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