睡眠を削るのが美徳だと思っていた|50代が気づいた本当の回復
今朝、アラームより30分早く目が覚めた。
7時にセットしていたのに、6時半には体が勝手に起きていた。
窓の外は雨だった。
出張先の朝は灰色で、スッキリ感がいつもより少しぼやけていた。
それでも体は軽かった。
「二度寝しなくていいな」と思って、そのまま起き上がった。
40代の自分なら、こうはいかなかった。
睡眠を削ることが「頑張ってる証拠」だった
40代の頃、夜の時間の使い方はこうだった。
仕事で疲れて帰る。
ようやく自分の時間だと思って、YouTubeを見る。
アニメを見る。
ダラダラゲームをする。
同僚や友人と飲みに行って、ストレスを発散することもある。
気づいたら11時、12時になっている。
朝は6時に起きなければならない。
結果的に、睡眠は5〜6時間。
でも当時の自分には、削っているつもりはなかった。
夜の自由な時間が、ストレス回復だと思っていたから。
「睡眠は5〜6時間あれば人間として機能する」という根拠のない確信があった。
むしろ、たくさん寝る人間は時間を無駄にしている、そんな感覚さえあった。
眠さをフィジカルの疲れと勘違いしていた
今振り返ると、あの頃ずっと何かがおかしかった。
朝、起きるまでに時間がかかる。
トレーニングしようと思っていたのに、なんとなく迷う。
「体が疲れてるから今日はやめておこうか」と弱気になる。
でも今なら分かる。
あれはフィジカルの疲れじゃなかった。
ただ眠かっただけだ。
眠さをだるさとして感じる。
それをフィジカルの疲れと混同する。
トレーニングコーチとして選手の体を見てきた自分でも、自分自身の体の信号を読み間違えていた。
50代に必要な睡眠時間は、実は「長くない」
睡眠について調べてみると、意外な事実があった。
睡眠医学の専門家によると、50代に必要な睡眠時間は個人差があるが6.5時間程度が目安で、「8時間眠ってスッキリできるのは若者だけ。
中高年以降は『しっかり長く寝る』との発想はやめた方がいい」とされている。 Nikkei
ただし、ここには注意点がある。
この6.5時間は「実際に眠れている時間」だ。
ベッドにいる時間とは違う。
布団に入ってからすぐ眠れるわけじゃないし、夜中に少し目が覚めることもある。
実際に使っているウェアラブルデバイスのデータでも、「7時間寝た感覚」があっても計測上は6時間半だったことがある。
つまり、実質6.5時間の睡眠を確保しようとすると、7〜8時間をベッドで過ごす必要がある。
「7〜8時間確保する」というのは、長く寝ようとしているわけじゃない。
ちゃんと眠れる時間を逆算して設計しているのだ。
それと、40代の自分が「5〜6時間で十分」と思っていたのは、時間の問題だけではなかった。
夜遅くまでスマホやテレビを見て、お酒を飲んで寝ていた。
睡眠の「質」が根本から壊れていたのだ。
アルコールは寝つきを助けるように感じる。
でも実際は眠りを浅くし、中途覚醒を増やすことが分かっている。
Banno Clinic
スマホやテレビの光は、脳に「今は昼だ」という信号を送る。
眠りに入るのをじゃまする。
削っていたのは睡眠時間だけじゃなく、回復そのものだった。
今の自分が変えた4つのこと
今は意識的に7〜8時間の睡眠を確保するようにしている。
それと同時に、こんなことを変えた。
①寝る前のスマホ・テレビをできるだけやめる
完璧にはできていない。
でも「できるだけ1時間前には画面を閉じる」を意識するだけで、眠りの入りやすさが変わってきた。
②お酒を睡眠前に飲まない
飲み会の翌日の体の重さを思えば、理由は分かる。
アルコールは眠りの質を確実に下げる。
③眠りの「入口」を整える
睡眠の質は、眠る前の状態で大きく変わることに気づいた。
仕事のことを考えながら眠る夜と、体がちょうどいい疲れで眠る夜では、朝の感覚が全然違う。
メンタルのストレスは神経を興奮させたまま眠りに引き込む。
だから眠れても浅い。
体の心地よい疲れは導入を助けてくれる。
ただしハードすぎるトレーニングの後は逆に体が活性化されて、寝つきが悪くなることもある。
それと、朝の光。
晴れた朝に窓を開けると体がスッと起きる感覚がある。
雨の日はそれがぼやける。
これはマインドの問題じゃなくて、光が体内時計をリセットする仕組みがあるから。
睡眠は、眠り始めた瞬間から始まるんじゃない。
眠る前の時間から、もう始まっている。
④早く目が覚めたら、体が軽ければ起きる
「アラームまでベッドにいなければ」と思っていた時期があった。
でも専門家によると、眠れないのにベッドにとどまることが睡眠の質を下げる原因になる。
「布団の中で眠れずに過ごした時間が長いと、起きたときの不快感が強くなる」という。 Nikkei
体が軽ければ、それが今日の自分に必要な睡眠量だ。
素直に起きる。
数字は目安、最後は自分の感覚
今はWHOOP(腕に装着して心拍数・睡眠の質・ストレス値を24時間計測し続けるウェアラブルデバイス)で睡眠を計測している。
毎朝リカバリースコアが出てくる。
面白いのは、デバイスが示す「睡眠時間」と自分の体感が、必ずしも一致しないことだ。
今朝も「実質7時間寝た感覚」があったのに、デバイスのカウントは6時間半だった。
数字は目安だ。
最後に判断するのは、自分の感覚。
「今日の体は軽いか。
次の行動への意欲はあるか。」
これがシンプルで、一番正直な睡眠の答えだと思っている。
睡眠は、回復じゃなく「設計」だ
40代の自分は、夜の自由時間でストレスを発散しようとしていた。
でも本当の回復は、そこじゃなかった。
ちゃんと眠ること。
それだけで、翌朝の自分が変わる。
起きた瞬間の体の軽さ。
次の行動への意欲。
トレーニングへの前向きさ。
睡眠は、削るものじゃない。
設計するものだ。
今朝、雨の出張先でアラームより早く目が覚めた。
窓の外は灰色だったけど、体は動く準備ができていた。
それで十分だと思った。

