思考を整える

代えは、誰でも効くのか|50代が汎用性の時代に見つけた、働き方の答え

バマ

経験でしか埋まらないことを、経験のない人に求めようとしていた自分に気づいた。
ミーティングでの、ある一場面だ。
話しながら気づいて、途中で言葉を変えた。

汎用性を重視したい、という提案

40代のマネージャーとのミーティングだった。
色々な意見を聞きながら、問題を解決していく場だ。
今のチーム編成や、これから求めていく人材像について話していた。

マネージャーが言った。
誰がそのポジションになってもできるように、汎用性を重視していきたい。
そうすれば、誰か一人がいなければ回らない、という状態にならずに済む。

そのマネージャーは、元々は現場を積み上げてきた、どちらかというと職人型の人間だった。
それが管理職という立場になってから、会社側の理屈に考えが寄っていったんだと思う。

正直、ちょっと引っかかった。

誰でもできる形にする、という考え方は理解できる。
でも、それは裏を返せば、「その人でなければ」という評価を消してしまうことでもある。

代えは、誰でも効く。

そう言われている気がして、嫌だった。

経験でしか埋まらないもの

だからこそ、俺は言い返したくなった。

選手を見て、何が必要かを見抜く力。
今の状態を観察して、疲労なのか、動きの癖なのか、性格的なものなのかを見極める勘所。
それには経験が要る。
若手にも、それを身につけてほしい。
そんな言葉を、口にしかけていた。

言いかけて、途中でやめた。

その力は、時間と経験でしか埋まらない。
今すぐ「できなきゃ」と若手に求めるのは、酷だと気づいたからだ。

言葉を、仕組みに変える

その力を、今すぐ若手に求めても仕方がない。

要るのは、誰でも再現できるやり方の方だ。

数字で判断する。
デバイスで分析する。
感覚じゃなく、データを見れば同じ結論に辿り着けるようにする。
可動域の数値、負荷のかかり方、疲労のサイン。
感覚で拾っていたものを、測れる形に変えていく。

そこまで考えを切り替えて、意見を言い直した。

汎用性は、組織の都合だった

会議が終わってからも、あの引っかかりが頭に残っていた

四半世紀、一つの現場をやり込んできた自負がある。
ある意味、職人だと思う。
さっき言いかけた、選手を見抜く勘所も、その一つだ。
技術を研磨する作業でしか身につかない。
誰にでもできることじゃない。

組織としては、汎用性のある人材の方が動かしやすい。
異動も、引き継ぎもしやすい。
誰かが抜けても、すぐに代わりが立てられる。
効率がいい。

でも、それは会社の都合であって、現場の結果を保証するものじゃない。

個を見なくなると、やりがいを感じられなくなって、辞めていく人も出てくるかもしれない。

やり込むから、先回りして準備できる。
やり込むから、誰かを助けられる。
やり込むから、気づける。
浅く広くだけでは、色々こなせても、それ以上は求められない。

会社にとっての都合は、たしかに生産性かもしれない。
でも組織を本当にスムーズに動かすには、同じような人材を揃えるんじゃなく、色々な人材を揃えて、それをうまく指揮する人間が要る。

そういう、指揮者のような管理職が、今は少なくなってきているのかもしれない。

人材不足の時代、育成には時間がかかる。
育てられる側だけじゃなく、育てる側の人材も、実は簡単には見つからない。

それでも、時間をかけて育てることに投資する方が、目先の結果を追うより大事な場面がある。

挑戦し続けることが、答えだった

どちらが正しい、で終わらせる話じゃない。

時代は流れる。
でも、古き良きものが消えるわけじゃない。
結局、時代は巡るものだ。

それでも、経験でしか出せない色を持ちながら、誰かに再現できる形に落とし込む努力もする。

止まらずに、模索し続けること。
挑戦し続けること。
それが、この年代で見つけた、一番いい働き方なんだと思う。

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ABOUT ME
バマ
バマ
50代の再チャレンジャー
アスレティックトレーナー/トレーニングコーチ。 プロとアマチュア、両方の現場で四半世紀以上、選手と向き合ってきた。 50代になって気づいた。自分を一番蔑ろにしていたのは、自分自身だった。 体を整え、思考を整え、暮らしを整え、そして自分を整える。 守りから、前へ。
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