思い出にお金を使うようになった|50代が気づいた、複利が効くお金の使い方
モノを買っても、1年後には慣れる。
でも思い出は、何年経っても色褪せない。
「このタイミングしかない」と決断した旅行
コロナ前の12月、家族でフロリダに行った。
二人の娘はまだ小学生。
自分は40代前半。
ディズニーワールド、ユニバーサルスタジオ、NASA——家族それぞれの「行きたい」が全部フロリダに詰まっていた。
妻が行きたいアンティークショップも、もちろん入れた。
旅費はかなりの金額だった。
正直、背伸びをしたレベルだった。
きっかけは、妻の一言だった。
その1年前、妻の友人がフロリダへ旅行に行った。
友人から借りたパンフレットを見せながら、妻がさらっと言った。
「私、NASA興味あるのよね。行ってみたいなあ。」
意外だった。
でも、その一言で決まった。
行くなら来年しかない。
どうにか計画を立ててみよう。
娘たちもディズニーが大好きだった。
その最高峰であるディズニーワールドへ連れて行ってあげたい気持ちもあった。
娘たちが小学生のうちは義務教育だから、学費の負担が軽い。
子供にお金がかかりきる前の、予算的に動ける数少ないタイミングだった。
家族4人が同じ方向を向いて動ける時間は、今しかない。
先のことを考えなかったわけじゃない。
以前からの貯蓄を思い切って使うことにした。
一時期、貯金額がかなり減った。
でも後悔はない。
それでも、行くことを選んだ。
完璧じゃなかったから、全部思い出になった
3週間、休みなく動き続けた。
宿泊はコンドミニアムタイプのホテルにした。
キッチンがついていたから、日本から炊飯器を持参した。
現地でお米を買って、夜ご飯の半分以上は部屋で食べた。
アメリカの大味な料理にすぐ飽きてしまったこともあって、夜遅くならない日は自然とホテルでの食事が増えていった。
下の娘がご飯しか食べない時期だったから、むしろその方がよかった。
お昼は妻が作ったおにぎりを持ってテーマパークへ。
列に並びながら食べるのに、おにぎりは持ち運びやすくて食べやすい。
何より、脂ギッシュなアメリカ料理に飽き飽きしていた我々には、最高のチョイスだった。
既製品を買って食べるのと、妻が作った手料理をみんなで食べるのとでは、気分も満足感も雲泥の差がある。
妻には苦労をかけてしまったけれど、あのおにぎりの味は今でも覚えている。
洗濯機が壊れていて、手で絞ってから乾燥機に入れたこともあった。
年を跨いで、アメリカで家族そろって新年を迎えた。
そして年末、思わぬサプライズがあった。
自分の母校がその年、フロリダでアメフトのボールゲームを開催していた。
ディズニーで試合前のパレードが行われて、偶然その場に居合わせた。
完璧な旅行じゃなかった。
でも、完璧じゃなかったからこそ、全部がエピソードになった。
思い出は、複利で効く
あれから何年も経った今も、自分の両親と話す時に昔の家族旅行の話が出てくる。
あの時どこに行ったか、何があったか—— 笑いながら話せる。
何度でも楽しめる。
きっと娘たちも、いつかフロリダの話を同じように話すんだと思う。
炊飯器を持って行った話。
妻のおにぎり。
壊れた洗濯機。
アメリカで迎えた正月。
人の記憶はイベントと紐づいて残る。
良いことも悪いことも、エピソードが多ければ多いほど、後から楽しめる量が増える。
そして、その積み重ねが家族の絆になる。
思い出は、時間が経つほど価値が増していく。
これが複利だ。
時間を作るためのお金という考え方
今年は国内旅行を計画している。
できれば2年に1回は旅行に行きたい。
娘たちにいつか家族ができても、一緒に旅行できたら嬉しい。
フロリダの炊飯器の話が、娘たちの子供に語られる日が来るかもしれない。
思い出は、次の世代にも繋がっていく。
旅行だけじゃない。
普段の食事も、リビングに家族が集まる時間も、全部同じだ。
ただ食事するのではなく、その時間を楽しむ。
一緒にいる時間を、意識して作っていく。
お金はそのためにある。
時間を作るためのお金というマインドに、少しずつ変わってきた。
今年の国内旅行、どこに行こうか家族でまだ話し合い中だ。
決まったら、また思い出が一つ増える。

