老化の速度は、まだ修正できる|50代が気づいた、体のアラートとの向き合い方
夜中、寝ぼけたまま起きてトイレに向かった。
何もないはずの段差で、思いっきり躓いた。
つま先が上がっていなかったのか、膝が上がっていなかったのか、自分でもよくわからない。
とっさに踏ん張ってバランスは保ったけれど、危うく転びそうになった。
「バリアフリーって大事だな」なんて、寝ぼけた頭でぼんやり思った。
何もない場所で躓く、それが反応速度の衰え
昔なら、こんなところで躓くことはなかった。
歩くスピードも、以前よりゆっくりになった気がする。
座っている時間が長いと、腰が痛くなる。
指先や足先の動きも、心なしか鈍くなってきた。
何もない場所で躓くことこそ、反応速度が落ちてきたという一番わかりやすいサインだった。
トレーナーという仕事柄、人の体の変化には人一倍敏感なつもりでいた。
選手の重心のズレも、歩き方の違和感も、すぐに気づく。
それなのに、自分自身の変化には、こういう小さな出来事があって初めて気づかされる。
人の体を見ることと、自分の体を見ることは、まったく別の作業なんだと、身をもって知った夜だった。
気づいたら増えていたメンテナンス習慣
50代になってから、体のあちこちにサインが出てくるようになった。
4年ほど前、左目に翼状片が見つかった。
同僚に両目とも手術した人がいて、術後は視力が落ちたと聞いた。
手術自体もかなり痛かったらしい。
目が悪くなると日常生活の不都合が一気に増える。
その話を聞いて、なんとしても悪化させたくないと思った。
以来、定期的に眼科に通い、こまめに点眼して、外ではサングラスをかけるようにしている。
見つかった時、正直ショックだった。
人一倍健康だと勝手に思い込んでいたけれど、自分も体の不調が出始める、ただの中年なんだと思い知らされた。
歯のケアで妻が苦労している姿を見て、自分も丁寧に磨くようになった。
頭痛の原因が眼精疲労やストレスだとわかってからは、そこにも気を配るようにしている。
若い頃なら気にも留めなかったことが、今は無視できない兆候になっている。
喉飴を舐める。
こまめに水分補給をする。
カフェインは15時以降とらない。
食べ過ぎない。
余計な砂糖や塩を摂りすぎない。
ストレスを溜めないようにする。
ひとつひとつは小さなことだけど、気づけばこれだけの習慣が、日常の中に自然に組み込まれていた。
誰かに言われたからじゃない。
体が出すサインに、少しずつ応えてきた結果だった。
ストレス解消だと思っていたことが、実は負担だった
以前は、お酒やご褒美スイーツで発散するのが、ストレス解消のつもりだった。
体脂肪率も低くはなかった。
でも、飲んだ次の日は二日酔いになりやすくなり、丸一日気分が悪いことが増えた。
飲んで得られる楽しさより、翌日の代償の方が大きくなっていた。
睡眠の質を考えるようになってから、なおさらそれがはっきりした。
食べ過ぎて消化に時間がかかると、胃もたれで眠りづらくなる。
お酒を飲んで寝ると寝つきはいいけれど、睡眠の質自体は悪くなる。
飲酒も暴食も、睡眠にとっては負担要素でしかなかった。
睡眠がしっかり取れて初めて、体のリカバリーが働き、体調も整う。
それに気づいてからは、睡眠を最優先に考えるようになった。
ストレス解消のつもりだった習慣を、根本から見直した。
お酒は基本的に断ち、ご褒美スイーツも家族みんなで食べる時以外は控えている。
お腹いっぱいまで食べないよう意識していて、胃もたれが嫌だから脂っこいものもできるだけ控えている。
睡眠を第一に考え始めたら、自然とその他のことにも気が回るようになった。
一時的な発散と、体を整えることは別物だった。
ストレスマネジメントも自分のペースでできるようになり、生活が以前よりずっと快適になっている。
老化の速度は、まだ修正できる
50代は、まだ修正できる年代だと思う。
小さな躓きも、目の異変も、頭痛も。
全部、体からのアラートだ。
それを無視せず真摯に受け取る。
そうやって老化の速度を落とせるように、自分を労ること。
それも、この年代ならではの人生の醍醐味なんじゃないかと思う。
